メンタルヘルス

EAPの効果とROI

EAPという言葉をご存知ですか?

EAPとはEmployee Assistance Programの略で、翻訳すると、従業員支援プログラムという意味になります。もっと分かりやすく言うと、「働く人のメンタルヘルスケア」のことです。

EAPを提供する機関を、EAP機関と言ったりもしますが、寿心理オフィスもEAP機関の一つです。

さて、「働く人のメンタルヘルスケア」と言いましたが、おそらくあなたは「メンタルヘルスケアは大事だと思うけど、費用対効果がよく分からないしな・・・」とか思っていませんか?

もしそう思われたとしても、無理はありません。というのも、メンタルヘルスケアの効果は、時間をかけてじわじわ出てくるからです。

例えるなら、メンタルヘルスケアは植物の根っこに例えられます。

葉っぱが枯れたとしたら、枯れた部分を切り取ればいいと思うかもしれません。でも、それだけでは何の意味もないのです。というのも、葉っぱが枯れる原因は葉っぱにはないからです。

じゃあ、どこに原因があるのか?枝かもしれませんし、幹かもしれません。でも、大元をたどると、根っこに行きつきます。根っこがダメなら、幹も、枝も、葉っぱも全部ダメになるのです。

このように、生産性であれ、人間関係であれ、職場の雰囲気であれ、人材不足であれ、およそ人間が関わる原点んには、働く人のメンタルが関係しているわけです。

そのことを証明する研究がありますので、ご紹介しますね。2009年に発表された「EAP Effectiveness and ROI」という論文からお話しします。

EAPはどれくらい効果的か?

EAP機関はたいてい自社サービスの顧客満足度を調べており、一般にその数値は高い。例えば、ある国際的な研究で、1300以上の事例でフォローアップ面接を実施した。その結果、EAP利用企業の95%がサービスに満足していると回答した。

EAPサービスを利用した個人の変化は、たいてい症状の改善や生産性向上といった形で見られる。

多くの応用研究では、EAPサービスによってポジティブな臨床変化が生じ、アブセンティーズム・生産性・売上が改善し、医療費・障害または労働者の補償請求が削減することが示されている。

EAPによって最も経費が削減される領域は、従業員の生産性(プレゼンティーズム)と欠勤(アブセンティーズム)の減少である。EAPを利用した後の従業員の変化として次のような例が報告されている。

  • 研究事例の57%で、EAP利用後に仕事の生産性が改善した
  • 研究事例の50%で、欠勤と仕事の生産性が改善した
  • 研究事例の64%で、EAP利用後に業務的問題が改善した:全事例の46%で生産性が改善した
  • 過去30日における早退数は、EAP利用後に8.0日から3.4日に減少した

EAPのROIはいかほどか?

EAPを利用するにあたり、たいていの場合、企業の予算担当者にサービス費用が適正であることを示す必要がある。ここに、「EAPが費用に見合うだけの十分なビジネス価値を提供するかどうか?」という疑問が残る。言いかえると、ROIはプラスなのか?

EAP費用

ここ10年でのEAP利用にかかる費用は、1従業員あたり年間で12ドル~40ドルであり、この数字はかなり安定している。一方で、この10年で企業が支給する従業員の医療給付の他の領域は大幅に増加している。

費用は、期待されるプログラム利用度と実際のプログラム利用度に基づいて計算される。そしてプログラム利用度は、産業、従業員数、プログラムモデルによってバラバラである。カナダでは、EAP利用にかかる費用は、全般的に高く、業者によってばらつきがある。

最も新しい世界的な研究(従業員3000人以上の会社を調査)で、アメリカの会社は1従業員当たり総額で平均7983ドルの健康給付金を支払っていることが分かった。この費用と比較して、EAP費用は1%の1/3にも満たない。

このように、EAPにかかる費用は従業員への給付費用の中で最も小さな領域の一つである。つまり、EAPへの投資額を上回るのに必要なリターンは比較的少なくてすむ。これを考慮すると、EAPは潜在的により費用対効果が高いとも言える。

EAPのROI

EAP研究における研究者や専門家のほとんどは、質の高い研究によって、ゆるぎない証拠が得ていると確信している。

EAP機関は、企業を対象にEAP利用の効果(例えば、欠勤、生産性、健康ケア費用、疾患)を研究してきた。そして、その多くの事例研究で、EAPの効果は実証されてきたのである。

企業とは、Abbott Laboratories, America OnLine (AOL), Campbell Soup, Chevron, Crestar Bank,Detroit Edison, DuPont, Los Angeles City Department of Water & Power, Marsh & McLennan, McDonnellDouglas, NCR Corp, New York Telephone, OrangeCounty (Florida), Southern California Edison, the USPostal Service, and the US Federal Governmentなどを含む。

典型的な分析ではROIはEAPに1ドル投資するごとに3ドルから10ドルのリターンとして算出される。EAPのROIは他の職場の健康促進やウェルネスプログラムのROIとも一致する。

注意

EAPの結果やROI分析の研究に対して批判者がいなかったわけではない。彼らは、統制群ないことを指摘している。しかし、ちゃんとした実験研究計画に基づいて行われた、職場全体の健康促進研究はほとんど存在しない。

さらに、非常に多くのEAP研究の結果から得られる知見はほとんど一致している。このことから、EAPサービスを利用する組織における結果やROIは真実だと考えられる。

どの種類のEAPサービスが、より多くの結果やROIをもたらすかを知るには、より多くの研究が必要である。

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